ユーロ加盟国に課せられたルール
財政赤字が拡大しても、お札を刷りまくることで解決する方法もある。しかし、ギリシャはそれもできない
ギリシャの財政について考える場合は、まず日本やアメリカとは全く別モノだと考える必要があります。それはギリシャがEUという共同体の一員であり、ユーロという他の国との共通通貨を持っているからです。
いまEUや他の国が懸念しているのは、ギリシャの借金が膨らみ過ぎて、返済不能になってしまう可能性がある点です。国の借金とは、つまり国債の発行を意味します。国債の発行額が増えすぎると、その返済や利子の支払い額が増えて、最終的に
デフォルト、つまり返済不能宣言をすることになってしまいます。国債のデフォルトはあまり起こりませんが、2001年にアルゼンチン国債がデフォルトになったのが最近のケースとしては有名です。
ギリシャはユーロの一員であるため、本来は無茶な財政運営をしないようにユーロ加盟国としてのルールが決められていました。そのルールとは、年間の財政赤字を、GDPの3%以内に抑えることです。
これを日本で例えてみましょう。日本の2009年GDPは、日本円で約470兆円でした。その3%とは、約14兆円です。つまり日本がこのルールを守るとしたら、新規国債発行額は14兆円以下に抑えないといけません。しかし実際には、日本の2010年度予算における新規国債発行額は約44兆円もあります。これは対GDP比で9%程度になり、ユーロの基準以上になってしまいます。
最初から財政状態を偽っていたギリシャ
では、ギリシャがユーロの財政ルールを守っているのかというと、全く守れていません。ギリシャの対GDP比の財政赤字は、2009年で12%にもなっています。なぜこんな状態になったのでしょうか?
ギリシャは2001年にユーロに加入し、その前後は財政赤字がそれほど悪い状態ではないと発表していました。その後、2008年までも対GDP比での財政赤字額は3〜6%と、3%の基準は守れていませんが、それほど酷い状態ではないと発表。ところが、2009年10月に行われた総選挙で現在与党になっている「全ギリシャ社会主義運動」が勝ったため事態が一変しました。
それまで議会で与党だった新民主主義党政権は、ギリシャの財政赤字はGDPの5%程度と発表していましたが、新政権が発表した数字が約12%の高い値。これによって、ギリシャの財政問題は国際社会で一気に表面化したことになります。
それまで3〜6%程度の低い数字を発表していたのは、偽装なのではないかという疑いが強まり、EUは現在調査を行っています。その偽装工作に、アメリカの大手証券会社が関わっていたという疑いもあります。